COVID-19とシンギュラリティ
新型コロナウイルスの感染拡大により新しい生活、働き方が模索されています。岡山県立大学においてもオンライン授業を余儀なくされましたが、新しい生活様式とデザインを考えるにあたり、人工知能が人間の能力を超えることが可能になる地点、シンギュラリティ(技術的特異点)について考える機会になりました。仮にシンギュラリティを迎えるとして、デザインは生き残れるのか? 生き残るために必要なことは何なのか? 人と接する仕事でコミュニケーションを必要とする職種や新たなものを創造するクリエイターの仕事は残る確率が高いと考え、教員と学生の生のコミュニケーションでしか伝えられない対面での授業こそが、これから迎えるかもしれないシンギュラリティに生き残るために必要なことだと信念を持ってデザイン学部では以下の取り組みを行いました。
学生のオンライン授業環境調査
オンライン授業を実施するにあたり、学生の視聴環境および通信環境の調査を行い、Wi-Fiルータを提供しました。ライブ授業の場合は「Zoom」、「Microsoft Teams」を使用し、オンデマンド型の場合は教学システム「はっとりん」を活用しました。
また、学生への連絡、アンケート調査についても「はっとりん」を活用しアドバイザー教員により丁寧に指導が行われました。結果、学生・教員共に「はっとりん」の活用が日常的に活用されるようになり、利用促進が図られました。
デザイン学部の授業の対応
前期前半の講義科目についてはオンデマンド型、ライブによるオンライン授業を実施し、演習科目についてはハイブリッド型で行い、オンラインでは困難と判断した科目については全て休講としました。
前期後半については時間割を大幅に変更し、午前中はオンライン授業とし、大学での昼食をさけるために午後の3限~6限(通常は3限~5限)に対面を必要とした演習科目の授業を実施しました。また、前期前半の補講および休講とした科目については夏季休業を短縮して対面での授業を実施しました。
前期前半中に実施したアンケート調査およびアドバイザー教員による聞き取りから、対面授業を希望する学生が大多数であったため、学生と相談のうえ、感染予防対策を徹底して上記の様な対応を行いました。特に密を避けるため、教室変更や2クラスに分けての授業など、学生・教員共に通常より大きな負担を背負うことになりましたが、質を保った授業が実施できたと考えています。幸いにして、学生・教職員に罹患者の発生はありませんでした。
今後の授業展開
オンライン授業と対面授業の両方を実施した結果、それぞれの利点を確認することができたため、今後もハイブリッド型の授業は引き続き実施されます。しかし、オンライン授業では同学年の連携、学年を超えての連携を図ることが難しく卒業制作展等の引継ぎにも苦労しています。また、学生によるグループ展、PBL科目などでは十分な授業を実施することが困難でした。よって、今後はオンラインの利点を活かしながら対面授業を基本に授業を行う計画です。
2021.7.2