Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

日本の中心から最も遠隔地にある沖縄の立地は、デザインを学ぶ環境として一見不利な状況にも見えますが、国内で唯一の亜熱帯気候という特殊性を地の利と考え、社会の問題解決の糸口を探す研究を積極的に行っています。

例えば、広範囲にデザインの基礎と応用を学ぶ中、地域社会に貢献できる人材の育成を目指すべく、カリキュラムの一部に地域に根ざした教材を組むことがあります。2年次の最後に実施する「デザイン・プランニング」、「地域の特産品開発」もそうした取り組みの一つです。実際の市町村や団体を調査し、各団体の協力を得ながら特産品(商品やイベント、建造物の設計など)を計画して、現地でのプレゼンテーションを行うというもので、企業や立地の条件などを踏まえて、実在する場所や商品を設定した研究を行う場合もあります。

また、本専攻では産学の結びつきを意識し、実社会との接点の有効性に期待しているため、3年次にはインターンシップ(企業実習制度)の活用を奨励しているほか、地域の企業から多く寄せられるデザインや企画の提案依頼を、必要に応じて授業や課外活動に取り入れています。

 

コロナ禍で島嶼を意識したデザインの発信を模索する
これら地域とのつながりを前提とした取り組みの多くは、人と人の直接的なコミュニケーションが重視されます。そのため、昨年から続くコロナ禍の影響で、従来どおりの実施が危ぶまれる局面もありました。ただ一方で、リモート化を強力に推進した結果、一部のデザイン教育はリモートでも可能、あるいはむしろ都合が良いということも分かってきました。加えて、地域の企業からリモート環境を使用したデザインの教養講座の開設依頼や(試運用中)、台湾やインドネシアといった近隣国の姉妹校から、デザイン関連講座の共同開設の依頼が来たりと、オンラインでのコミュニケーションがデフォルト化したがゆえの新たな可能性が花開きつつあります。

 

地域の特産品開発・展示発表風景 国頭村の特産品開発(2018)

 

地域の特産品開発・展示発表風景 恩納村の特産品開発(2019)

 

地域の特産品開発・展示発表風景 中城村の特産品開発(2020)

2022.3.29