Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

本学では地域、社会連携の窓口として地域協創センターを設置しています。地元企業、自治体などから大学に寄せられるさまざまな課題の解決要請は、1)教員が主体となって自らの研究、デザインプロジェクトとして取り扱う「デザイン研究開発受託プロジェクト」、2)授業課題として学部生を対象とする「地域協創演習」、3)大学院生を対象とする「地域特別プロジェクト演習」に振り分けられます。「地域協創演習」は2014年から実施され、学部の2年生以上の希望する学生が受講するものです。課題内容も企業の商品開発、地域のイベント、地元の特産品のデザインなど多岐にわたっています。

コロナ前後における社会連携活動の実施件数の推移は表の通りです。今年度はかなり数を戻しているのが分かります。ほとんど経験のなかった授業のオンライン化に試行錯誤を重ねた昨年度に比べて、今年度はwithコロナを前提とした予防する手立て(マスク、手洗い、3密防止など)、およびオンラインでのコミュニケーション手段が確立され、活動の仕方が社会全体に浸透してきたのが理由であると考えられます。

 

コロナ禍での活動について

今年度行われた具体的な授業の様子について触れておきます。新潟県三条市にある収納家具メーカーとの地域協創演習で、この会社と授業を行うのは今年で3回目です。過去には学生の提案したスニーカーラックが商品化され、日経新聞の「キャンパス発この一品」のコーナーに取り上げられました。本演習では、学生が自由な発想でデザイン提案を行い、会社の担当者との議論を経て具体化され、試作の制作までを実施。市場性があると判断された場合は実際に商品化されることになります。授業の性格上、担当者との間で何度も打ち合わせを行う必要がありますが、情報伝達が主体の会議はオンラインで、個々のデザイン案のやり取りは学生と担当者がSNSで、モデルの確認や議論が必要な事項については先方まで出向いて対面で、という風に、メディアや場所を変えながら打ち合わせを行いました。お互いにスムーズにコミュニケーションの手段を使い分け、仕事を進めていたのが印象的でした。

コロナ禍の中、長岡市では医療関係者、基礎疾患のある人、65歳以上への接種に続いて、市内大学、高専へのコロナワクチンの集団優先接種が実施されました。本学学生は7月末時点で60.1%、教職員が83%の接種率となり、対外的な活動を行うことの心理的なバリアが低くなっています。デルタ株の流行など、今後の状況について楽観視にし過ぎるべきではありませんが、現時点では県内における社会連携活動は自然にできており、知らず知らずのうちにニューノーマルが確立されてきているということかもしれません。

 

 

学生の提案により商品化されたスニーカーラック

 

学生と収納家具メーカー担当者による打ち合わせの様子

 

 

2022.3.29