Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

芸術工学研究院の国際化と芸工インターナショナルオフィス

芸工インターナショナルオフィスの開設
芸術工学研究院は国際化をより戦略的に推進するために、2020年4月に「芸工インターナショナルオフィス」を開設しました(図1、図2)。これまで個々の教員に頼っていた国際化を組織的に進めること、各部署に散らばっている国際化業務を有機的に連携させること、国際化に関する窓口を一本化(ワンストップ)することなどが設立の目的です。

芸工インターナショナルオフィス(IO)のロゴ。IOを介して多くの学生や教員が世界に羽ばたく/芸術工学研究院に集まることをイメージしてデザインされた

コロナ禍の中で
オフィスを開設した直後、緊急事態宣言が発出されました。教員・学生の派遣や受け入れなど、国を行き来するさまざまな活動が制限されるなど、多難な状況下での船出でした。オンラインを活用した海外大学との合同ワークショップといった新しい形での連携は広がりましたが、本来取り組みたかった活動はほとんどできない状況にあります。その一方で、この状況だからこそ、これまで後回しにしてきたさまざまな課題に時間や予算を投入。特にWebサイトの充実、書類の英文化、各種申込の電子化、諸手続の簡素化などを積極的に行い、さらに海外への往来が再開された後の国際化戦略も検討・準備しています。

「デザインと日本」の開講
コロナ禍の中で新しく取り組んだことの一つが「デザインと日本」という新しい授業科目の開設です。
日本には世界に誇れるデザインが数多くありますが、それらをオムニバス方式で各教員が英語にて紹介・解説します。さまざまなコンテンツを取り扱う本研究院だからこそできる授業です。
この授業のメインターゲットは、交換留学生を含む全ての留学生ですが、日本人学生も受け入れています。留学生には日本のデザインの特徴とその背景を知り、自身のデザインワークに活かしてほしい、日本人学生には日本のデザインの強みを英語にて発信できるようになってほしいという狙いがあります。
初めて開講した2020年後期(90分×15回)では、12ヵ国および地域、46名の学生が受講しました(図3)。入国できない留学生も受講できるようハイブリッド形式で行い、日本の伝統デザインの見学ツアーも企画しました。非常に評判が良かったことから、同授業は2022年度には大学院の正規科目となり、また2科目(日本とデザインA、B)へと拡張します。

「デザインと日本」の授業の様子

「デザインと日本」ポスター

大学院の国際化
芸術工学府の修士課程と博士後期課程は2022年度から新しくなります。その大きな改革の一つとして、英語による授業を充実させ、かつ入試も英語にて受験できる仕組みを整え、日本語の習得が学位取得の条件とならないような仕組みを導入します。多様な国からの留学生を受入れ、日本人と留学生が学びの空間と時間を日常的に共有し、国際性が涵養されるキャンパスを目指しています。芸工インターナショナルオフィスも、リクルート活動に加え、新しく迎え入れる留学生が充実した大学生活が送れるようさまざまな準備を進めています。

 

2021.12.3