Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

高度な専門性と研究力を備えた社会システムを創造するデザイナー育成

2015年度から計画を始めた本学大学院の学位プログラム化はさまざまな検討を経て2020年度からスタートしました。その目的は「人のこころをより良い状態にする製品や環境を生み出す実践的な力を修得し、人と人のつながりを作り明るく充実したものとする社会システムの創造を目指し、豊かで建設的な地域や社会を育み維持再生するための創造力を活用できる、国際的トップリーダーの資質を持った高度専門職業人または多様な研究・教育機関の中核を担う研究者を養成すること」です。デザインの教育を、デザイン学学位プログラム(DPD:Degree Program in Design)として位置付け、構成(Science of Art and Design)、プロダクト・情報デザイン,建築・住環境デザイン、エンタテインメントデザインなどに加えて、産業技術総合研究所および国土技術政策総合研究所との連携大学院、システム情報工学、医学医療、障害科学などを所属組織とする教員を含めた横断的な教育体制を実現しました。

学位プログラム制とは、学位取得に当たり、どのような能力を習得すべきか(DP:Diploma Policy)を明示した上で、体系的に科目などを設計し(CP:Curriculum Policy)、求める学生を明示し(AP:Admission Policy)た上で、学生を選抜して育てる教育プログラムのことです。筑波大学では、DPの各要素をコンピテンスと位置付け、筑波大学/大学院生としての修得すべき能力、学位プログラムとして専門的に修得すべき能力をまとめ、修士・博士の課程の中でそれぞれのレベルに見合うコンピテンスを獲得したと認められる学生が修了できるという仕組みになっています。大学院課程における修了要件は、1)修業年限、2)修得単位、3)研究指導、4)研究指導の成果(学位論文)、5)最終試験、と大学院設置基準で定められていますが、DPDでは学位プログラムにおけるコンピテンスの審査を最終試験の一部とすることで、修了要件の一つとして明確に位置付けました。コンピテンスの修得をスムーズに導くために、それぞれの課程に合わせて学生による自己評価と組織による判定を組み合わせた達成度評価のプロセスを導入することで、スムーズな学修を導く設計としています。

大学全体では、8研究科85専攻から3学術院6研究群56学位プログラム体制に移行しましたが、旧来の研究科は学術院に、専攻は研究群として位置付けていますので、組織上は85専攻が6研究群に改組されたことになります。すなわち、研究群に位置付けられた学位プログラムは主専攻分野に準じた位置付けになることから、大学として組織の柔軟な設計が可能になります。

このメリットを活かすためには内部質保証の仕組みを充実させる必要があることから、新たに教学マネジメント室を発足させ、すべての学位プログラムについて毎年のモニタリング、複数年に一度のレビューを実施することでその質保証を充実させるという制度を導入しています。https://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/dpd/

2022.3.29