Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

本学では、「秋田の伝統・文化をいかし発展させる大学」という基本理念のもと、実践的なプロジェクトを通して、秋田県内の地域ブランドの開発や地場産業の振興に取り組んできました。そして、2019年度からは、個々のプロジェクトを超えた大学と産業の新たな連携体制の構築を目指し「ORAeプロジェクト」を立ち上げました。

このプロジェクトは、秋田県に点在する木工関連事業者の集合体で、木工産業の発展および担い手の育成に寄与するプラットフォームとなることを目指しています。このプロジェクトではほとんど交流がなかったベテランと若手の事業者をつなぎ、さらには未来の担い手となる学生参加による産学連携を推し進めることで、従来の木工産業に縛られないヒトやモノが織り成す新たなネットワークを構築し、新しい産業形態を創出することを期待しています。

プロジェクトの第一段階として、秋田公立美術大学でデザインを学んだ学生の指標となる活動展開や、インターンシップの積極的な受け入れ、および在学生のプロジェクト参加(デザイン演習授業として導入)に対する連携体制を確立し、秋田での教育と産業をつなぐ地域内部サイクルを模索しています。秋田で学んだ若者がここ秋田の地で活躍できる場を提供し、高齢化と人口減少が加速する地方都市に若い世代がしっかりと定着していくための仕組みづくりに取り組み、実践を通してアップデートを繰り返しています。

いまだ収束の兆しが見えない新型コロナ感染症によって急激な社会変化への適合を余儀なくされる状況において、さまざまな革新的なシステムや新技術への順応が求められているなか、地方都市に美術大学が在ることの優位性を自覚した上で、組織や団体といった集合体のこれからの未来に向けた存在の“あり方“を提案していきます。

縄文から育まれてきた豊かな森林資源と再生のサイクル、それらを生かしてきた伝統工芸のみならず、多様な生産体制によって脈々と生み出されてきた生活プロダクトに立脚し、秋田において教育機関と地域社会が密接に連携することで、アフターコロナにおける更なる持続可能な生活基準の構築と産業発展の地盤を築いていきたいと考えています。

「ORAeプロジェクト」参加事業者メンバーと若き担い手(学生)による、次世代の木材産業の発展についてブレストが繰り返された

 

ものづくりデザイン専攻3年次後期演習授業での実践課題としてORAeプロジェクトへの新製品開発を実施した

 

2021年3月に開催したORAeプロジェクトの展示会において5名の学生の製品モデルが展示され、製造ラインが整い次第発売される

2022.3.29