Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

第1回国公立デザイン系大学会議レポート(前編)

東京ミッドタウン・デザインハブ内インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにおいて2019105日(土)に第1回国公立デザイン系大学会議を開催しました。主催の九州大学大学院芸術工学研究院と九州大学未来デザイン学センター、協力の公益財団法人日本デザイン振興会のもとで、会議参画大学の国公立デザイン系22大学から17大学が出席しました。また、来賓挨拶として文部科学省大臣官房審議官・玉上晃様、経済産業省商務・サービスグループ クールジャパン政策課/デザイン政策室 課長補佐/室長補佐・菊池拓哉様をお迎えしてお話をいただきました。

初めての開催となる今回は、デザインに対する社会的な役割や期待が高まる中、デザイン学の高等教育を行う大学が果たすべき役割を確認し、さらなる連携を図るべく情報交換が行われました。それぞれ異なる歴史や経緯、課題を持つ各大学が、今後のデザイン学教育について意見を交わす貴重な機会となりました。

会議は2部構成とディスカッションで、第1部は本会議の運営規約と本会議専用デザイン学ウェブサイトDesign Academiaの紹介、第2部は各大学の事例紹介として秋田公立美術大学・今中隆介教授、首都大学東京・馬場省吾准教授、金沢美術工芸大学・北村賢哉准教授、静岡文化芸術大学・伊豆裕一教授、京都市立芸術大学・高井節子准教授、九州大学・谷正和教授からのプレゼンテーションがありました。

 

2部(前半) 事例紹介
秋田公立美術大学/東京都立大学/金沢美術工芸大学/静岡文化芸術大学/京都市立芸術大学/九州大学

第2部の前半では、国公立デザイン系会議に参加する大学の中から6校が、おのおの10分の持ち時間を使って最新の取組みについての発表を行いました。登壇したほぼすべての大学が、近年または近い将来に学部や学科の改組を行っており、「デザイン学」の位置づけや扱う領域の変化を如実に感じさせる内容となりました。さらに、どのような方針で組織やカリキュラムを組み立てるかについて、いくつかの共通点が見られました。

低年次の共通教育
多くの大学が、1〜2年次に美術やデザインに関する広範な共通教育に取り組んでいます。これは、デザインが扱う領域の多様化に従って、専攻に進む前に、より横断的に学び、幅広い思考を身につけることが意図されています。例えば、秋田公立美術大学では、学生は1年次に5つの領域を横断的に学び、続いて2年次に2つの専攻を、さらに3年次にひとつの専攻を選択することで、専門領域を積み上げる教育が行われています。

 ハイブリッドなアプローチ
デザインは、これまでの「色や形による造形表現」から、「多様な領域での課題やニーズを読み解き、解決に導くための、提案と検証を行う行為」という、創造のプロセスのすべての段階に及ぶものになっています。大学でのカリキュラムも脱領域化が進み、他領域とのハイブリッドな教育が行われている実例が示されました。東京都立大学では、インダストリアルアート学科が高度なエンジニアリングを学ぶシステムデザイン学部に所属。先端工学をデザインするという使命のもと、12の専門性の高いスタジオ(研究室)での研究が行われています。京都市立芸術大学のビジュアルデザイン専攻では、大阪大学とともに、医学・看護・工学・芸術(デザイン)が連携した共同授業が行われている事例が紹介されました。九州大学芸術工学部では、5学科を1学科にまとめ、その中に緩やかに並列する5コースを設ける改組を実施。異なるコースの学生が、ともに履修できる演習を設計するなど、横断的で融合的な高度デザイン人材の育成が目指されています。金沢美術工芸大学もまた、「ランドスケープ」「建築」「インテリア」「プロダクト」「グラフィック」の5つの領域の専攻教員が在籍し、学生は5領域を内包した課題に取り組んでいます。

 地域性の追求
さらに多くの大学で、地方都市ならではのアイデンティティを持った教育を行い、地域の課題解決や地元企業との実践的な連携を行っています。例えば、静岡文化芸術大学で新たに設置された「匠領域」には、「伝統建築」「木工芸・漆芸」「金属工芸」「染織」という伝統工芸に関する4専攻が置かれています。自動車製造や楽器制作が盛んな土地にあって、ローカルな分野の専門性を高めることによって、グローバルにアクセスできる人材を育てることが意図されています。

この日は、サービスデザインやビジョンデザインなど、新しいデザイン分野へどう取り組むかを参照しつつ、教育と実践をつなぐ事例が多く紹介されました。社会がデザインに要請していることが、大学でのデザイン教育に反映されていることが分かる事例紹介となりました。 

 

第二部後半ディスカッションの様子はこちら

2019.10.7