Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

地域課題に寄り添うデザイン教育

本学デザインコースのデザイン実習IIの課題のひとつであり、芸術文化学部美術学科の特徴を端的に表している「尾道地域課題+地域活性化企画」の取り組みについて、現在までの経緯と課題内容、課題制作の進め方、最終的な成果、学生への教育的観点とその評価をご紹介します。

「尾道地域課題+地域活性化企画」は、本学芸術文化学部美術学科デザインコースと広島県中小企業家同友会尾道支部との産学連携行事として2003年に始まり、2019年度の今年で17回目を迎えます。毎年3年次の学生が、前期の4月中旬から8月中旬までの期間をかけて取り組んでいる課題であり、学生の視点から尾道の魅力を再発見するとともに、新たな地域資源の発信とプレゼンテーション能力の獲得を目的としています。


学生による発表

 

課題の進め方は以下の通りです。4月のオリエンテーション終了後、まずは市街地のフィールドワークや地場産業の見学など、地域の特色をリサーチします。また、教員とのブレインストーミングを通して、学生各自が地域の潜在的なニーズや改善点、新規提案などの最終的なテーマを設定。その後はコース内の各領域(ゼミ)の教員とのミーティングを定期的に行いながら、必要な場合はさらなるリサーチやプロトタイプによる検証などを経て、7月初旬の学内総講評に向けて制作していきます。総講評終了後は、作品についてのコンセプトや制作プロセス、作品紹介などをまとめた5分程度のスライドを作成し、それをもとに学外の市民ギャラリーで展示・トークを実施。優秀作品(10点程度)として選ばれた学生は、大学の情報発信基地であるサテライトスタジオでの展示のほかに、市民ホールで市内在住の起業家や市関連のアドバイザーを前にして発表会を行い、プレゼンテーション能力の更なる向上に取り組んでいます。また、これらの発表会の様子は地元広島のケーブルテレビを通して放送され、商品化に繋がり、学生の活動が地域へ還元されています。希望する学生については、教員指導のもと、ひろしまベンチャー助成金への積極的な応募を支援しており、これまでにひろしまヤングベンチャー賞を多数獲得しています。

 

2019年度の優秀作品

尾道の魅力的な古民家を模したミニチュアモデルの制作キット。中には、温かくどこか懐かしい木工素材が入っており、大人も子どもも楽しめる。さまざまなパーツをパズルのように組み合わせて、どんな家ができるかはあなた次第。


グランプリ作品「古民家パズル」

 


しまなみ交流館大ホールでの発表者登壇とアドバイザー挨拶

 


府中の木工所見学

2020.3.22