Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

本校では、地域性とデザイン教育を今日において不可欠な関係と捉え、地域連携科目やプロジェクトのプログラムを用意しています。中でも文部科学省「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」では、地域人材の育成に主眼を置いた事業を展開。デザイン学部学科共通科目として、デザインマネジメントのカリキュラムを展開することで、デザインスキルのみならず、経営資源としてのデザイン的思考力を育み、地域で活躍できる人材育成にも力を入れています。

 

【「吉備の杜」創造戦略プロジェクト-雑草型人材育成をめざして-】

4年次・大学院共に環境デザイン演習として3学部(保健福祉学部・情報工学部・デザイン学部)連携指導のもと、県大キャンパスの将来的な構想をつくり上げています。基本的には構想案をバーチャルリアリティー画像としてまとめたものを成果物として評価するのが目的で、大学院生は、さらに一歩進めて、地元企業から与えられたテーマに沿った技術開発やデザイン開発をキャンパス構想の中で行い、バーチャルな構想をリアルな世界に着地させる実践的な課題によって評価を加えています。

前述の、文部科学省「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」の採択を受けて取り組んでいる【「吉備の杜」創造戦略プロジェクト-雑草型人材育成をめざして-】もその一つです。同プロジェクトは、大学・地域・企業が一体となって開講される、各分野のプログラムと分野の枠を超えた異分野融合教育を組み合わせた新たな副専攻であり、高い専門性と幅広い人間力を備え、未来社会の多種多様な環境に対応できるたくましい人材=「雑草型リーダー」の育成を目指しています。プロジェクトを構成するのは、保健福祉学部を対象とした【食と栄養と健康を温め羅ねる杜】、情報工学部を対象とした【地域のICT 技術を温め羅ねる杜】、デザイン学部を対象とした【森と建築と匠を温め羅ねる杜】というの3つプログラムです。

 

【森と建築と匠を温める羅ねる杜】

【森と建築と匠を温める羅ねる杜】は、架空の場所ではなく自分たちが学んだ場所の潜在的な魅力を掘り起こし、森林・木・地盤・構造の知識を生かしながら未来型のキャンパスとして具体的に設計するプログラムです。日本でも有数の木材産地である岡山の風土を活かし、心地良い住環境を生み出す能力を持つ設計者の育成を目的としており、具体的には

  • 木造建築の素材としての木、木が生まれる森林環境、森林を支える地盤、地盤に建つための木造構造設計技術と大工技術、これらに関わる知識と技術をバランス良く統合する能力(設計力)の獲得
  • 木造建築の素材である木を扱うために必要な森林生態学・地盤工学等の環境学習科目を履修し、4年次生からは、デザイン学部主体のさまざまな素材(木・テキスタイル・セラミック)を統合した演習課題に取り組みながら、事業協働機関の企業から提案されるテーマに対して、4年・大学院生・他学部学生と協働して、西日本屈指の木材産地である「真庭市」を活動の舞台に据えた環境プロジェクトの実践を通した雑草型リーダーの育成を目指します。

2022.3.29