Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

アントレプレナーシップを教育する最良の方法とは?

京都工芸繊維大学では、デザイン教育の一環として京都工芸繊維大学KYOTO Design Labが主催する「京都スタートアップサマースクール(KS3)」という取り組みを実施しています。KS3は、全行程において英語で開催される日本で最も国際的なスタートアッププログラムです。KS3のミッションは、学生のスタートアップに対する興味や好奇心をかきたて、成功するスタートアップの設立方法を学び、そして実際にスタートアップを設立する最初の一歩を踏み出してもらうことです。


ハードウェア開発モジュールの様子

 

KS3のはじまり

KS3は2016年に、12名の参加者と4名の講師やワークショップ・ファシリテーターを迎えた2日間のプログラムとして始まりました。このプログラムは「資金調達」や「スタートアップのためのマーケティング」などのモジュールによって構成されていました。

このベータテストは成功に終わり、翌年にはプログラムを大幅に拡大しました。2017年のKS3は51ヵ国から集まった199名もの応募者の中から28名の参加者を選別し、3週間の期間におよびました。世界各国から招聘した16名の講師やワークショップ・ファシリテーターがそれぞれのモジュールを担当しました。また、初めて「Startup Weekend Kyoto」がプログラム内に組み込まれ、参加者達がローカルの意欲的な起業家達とコラボレーションできる機会となりました。


デザインリサーチャーであるAjay Revelsによるワークショップの様子


2017年度KS3参加者の集合写真

2019年度KS3参加者の集合写真

CADワークショップの様子

デザイン思考ワークショップの様子

 

学習モジュール

KS3は、スタートアップの世界において直接的な経験を積んだ起業家・専門家・教育者が教えるさまざまなモジュールによって成り立っています。

中でもKS3においてコアとなるのが「デザイン思考とリーンスタートアップ」に関する各数日間のワークショップです。デザイン思考とは、スタンフォード大学とシリコンバレーにおいて発展したイノベーションへの新しいアプローチで、今や新しいものを作ろうとするあらゆるチームにとって基盤となっています。リーンスタートアップは、成功するビジネスモデルを見つけるために速やかに仮説をテストすることに焦点をあてた、スタートアップを設立するための方法論です。

短いワークショップでは、CADや3DプリンティングやArduinoを使ったメカトロニクス・プロトタイピングなどの、スキルに関するトピックを扱います。先駆者達、つまり成功している起業家達の経験から学ぶための講義です。

「Meet the Entrepreneurs」と題されたミキサーは、参加者がローカルな起業家とネットワーキングし、実際の成功談や失敗談を聞くために設けられています。彼らはできたばかりのチームのメンタリングも務めます。

KS3自体は、アントレプレナーシップを教育する最良の方法を知るための現在進行中の実験です。上記のモジュールは過去にも例がありますが、プログラムをより魅力的で楽しく学びの多いものにするためにいつも新しいフォーマットを試しています。

2019年の京都スタートアップサマースクールKS3は20人の講師を迎え、141人の応募者から選ばれた31人が参加しました。

2020.3.23