筑波大学では,2020年1月に新型コロナウイルス感染症リスク対応チームを発足させ、2月末に大規模集会への対策をまとめました。その結果、卒業式の運営方法の見直し、入学式の中止が決定され、平行して設置された新学期対応タスクフォースによって4月以降の教育組織運営の方法、特に、新学期をどの段階からスタートするか、非対面の授業に学生・教員がどのように対応するのかを検討しました。「Microsoft Office 365」の全学包括契約がすでに運用されていたことから、オンライン授業の基盤システムは「Microsoft Teams」とし、4月当初には、全学の教育組織から担当者を出していただき、遠隔授業に向けてのチュートリアルを実施しました。
その後、緊急事態宣言が発令されたことから、春学期の授業が全面的にオンライン化することになりますが、新学期を4月27日開始とし、ほぼ1週間の授業を行った後に連休を挟み、連休中にその後の授業運営の改善に結びつける対応としました。
筑波大学の学生組織である全学類・専門学群代表者会議は、連休明け早々に学生へのアンケートを実施しました。全学の教育組織のマネジメントを行う教学マネジメント室(2020年4月新設)では、代表者会議にこのアンケートの追加分析を申し入れ、自由記述のテキストマイニングなどの分析を行った結果、学生が直面した状況の実態を把握し、授業方法の改善のメッセージを出しました。その後、7月〜8月にかけて、大学としての学生アンケートを実施し、学生の学習状況・環境、学びの時間、困った事など、全学学生の40%相当の回答を得ました。その結果から、オンライン授業においては特に学生へのフィードバック、レスポンスが極めて重要であること、それは「対面・対話の充実」によって、より効率的に高められることを再確認しました。このアンケートによって確認出来たことについて、教学マネジメント室は教員に対するFDを行うなどの働きかけをしました。
参考資料:https://pbs.twimg.com/media/Ejotn7SVgAA3O4X?format=jpg&name=large
その後、入構規制の緩和を受けて、8月末からは芸術専門学群を中心として対面型の授業の段階的な運用を行いました。同時に、新型コロナウイルス感染症拡大対策のマニュアル、罹患した場合の対応方法を前提として、教育組織による授業運営のガイドラインを設定し、秋学期からは多くの授業が対面型に移行しています。
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緊急時に新しくスタートしたデザイン学学位プログラムは、オリエンテーションの時点からオンラインとなり、1年生は、まったく教室に集まることのない春学期を過ごしました。そうした中、新しい履修の方法を再度確認するために、デザイン学特別研究Aのタイミングで、2回目となるオリエンテーションを行いました。ここでは、学位プログラムにおけるコンピテンスの獲得の目安となる達成度評価システム、履修年限の定めと単位取得、カリキュラムマップ、学位論文審査と達成度評価および最終試験の関係など、履修と学位取得に必要な道程について綿密な説明を行い、その後、学位プログラムオンライン大学院説明会を開催しました。
本記事執筆時点の2020年10月には秋学期に突入し、徐々に対面の授業やゼミも活用しつつ、なおかつオンラインによる教育のメリットも生かす、新たな教育体制について、全学で検討を進めている段階です。
2021.7.5