Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

千葉大学デザインコースでは、2020年1月にソウル大学と共催したワークショップへの派遣を最後に、学生の渡航・受入を中止しました。コロナ禍は半年ほどで終息し、昨年同様の活動が行えると楽観視する意見もありましたが、他大学の担当教員とディスカッションする中で、ピンチをチャンスに変えてみようという機運が高まり、6月の段階で9月にオンラインワークショップ開催することを決定。その後もコロナ禍が続く中、いくつものインターナショナル・オンライン・ワークショップを実施してきました。

ここではその一例として、浙江大学(中国)、延世大学(韓国)をパートナー大学として2016年に「大学の世界展開力強化事業」に採択された「植物環境イノベーション・プログラム」で実施したオンラインワークショップについて紹介します。本ワークショップは「Co-designing with Plants ‐Human, Machine & Plants」をテーマに、2021年2月18日(木)~26日(金)の9日間実施されたもので、各大学から6名、計18名の参加者が3つのチームを編成。実際の植物から3つのセンサー(気温センサー、湿度センサー、土壌水分センサー)を用いてデータを取得し、それらのデータと機械学習を結び付けて新しいサービスを提案することを目標に活動が行われました。

ワークショップ自体は、課題の説明、植物・機械学習に関する基礎講義をインプットとして行い、その後、各グループに分かれ「Zoom」と「Miro」を使いながら、グループ作業を進めていきました。ごく一般的なオンラインワークショップのアプローチではありましたが、各チームが実際のオブジェクトである生きた植物について、センサーを通してチームでリアルタイムに情報をシェアしたという点では画期的な試みでした。結果、これまでのオンラインワークショップとは異なり、チームに対するコミットメントがより高まったと感じています。

オンラインは、いつでもどこでも自由に繋がることのできるとても便利なツールですが、言い換えるなら都合の良いツールであり、現実世界とは離れたレイヤーに存在しています。このオンラインワークショップでは、そこに実際のオブジェクトである植物が持ち込まれたことで不都合をシェアしなくてはならなくなり、オンライン上の都合の良いチームが、不都合をシェアする現実のチームに変質したのだろうと推察されます。

われわれが生きている現実世界は多くの不都合からできています。もちろん誰も不都合をシェアしたくはないはずですが、せざるを得ません。オンラインでいかに不都合をシェアしていけるか。この点に、オンライン上のコミュニケーションにおける今後の重要なカギが隠されているのではないかと考えています。

センサーを取り付けた各チームに与えられた植物

 

Team 3「Plant Soulmate」の最終提案

2022.3.29