Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

名古屋市立大学芸術工学部と芸術工学科は、広い意味でのアーキテクチャ、すなわち設計や構想を研究・教育の柱に据え、人間や社会への共感と未来への希望を築くべく、諸学問を統合場を提供しています。名古屋市立大学は、医学・薬学・経済学・人文社会学・芸術工学・看護学・総合生命理学(システム自然科学研究科)の7つの学部と7つの研究科を持つ総合大学です。芸術工学部・研究科では、そうした総合大学の強みを活かし、また、医療系3学部・研究科を知の土台とすることで、幅広い教養と科学的素養に根ざしたデザイン教育を行っています。
1996年に創立された芸術工学部は、2000年に大学院博士前期課程を、2002年には同後期課程を設置。入学定員は、学部100名、大学院博士前期課程30名、同博士後期課程5名の比較的小規模な高等教育機関で、学生と教員の距離が近いことが特色のひとつです。

芸術工学部の3学科

芸術工学部を構成しているのが、情報環境デザイン学科・産業イノベーションデザイン学科・建築都市デザイン学科の3学科です。
学部教育では、初年次に、数学、情報処理といった基礎的理論科目に取り組むとともに、美術デザイン史、美術デザイン論などの科目によって、創作・制作のための教養を身につけ、教員や同級生と議論しながら思考力を磨きます。上級学年や大学院芸術工学研究科においては、人の心と体に挑む環境デザイン、人にやさしいデザインを実現するための人間工学とユニバーサルデザインなどの共通基盤の上に、実習やゼミの中で専門分野の研究を深化させ、学生一人一人が個性を開いていくことを目指します。

情報環境デザイン学科

インタラクションデザイン、映像・音響デザイン、メディア工学、メディア表現、情報通信工学・人間工学という多分野に渡って技術から表現、社会への貢献までを学習します。地域課題実習においては、学科の全教員が一同に介して学生のデザイン制作についてブラッシュアップを図っており、VR技術を応用したさまざまなコンテンツ制作、人間のからだの錯覚で主観世界を再デザインするメディア表現、ライブ演奏と柔軟なインタラクションを保つコンピュータ音楽の制作、映画制作などが展開されています。

医療デザイン実習のプレゼンテーション

産業イノベーションデザイン学科

プロダクトデザイン・グラフィックデザイン・3DCG・生体医工学・ロボット工学・光電子工学を専門教育の柱とし、視覚科学の基礎研究によるエビデンスに基づいた照明環境デザイン、動物園のサイン計画、災害時にも即時的に理解できるピクトグラム制作、実写合成のCGデザインなどが展開されています。

映画制作の実習

建築都市デザイン学科

意匠・計画、構造・材料、環境・設備、都市・地域の4つの分野で基礎教育を行い、デザインと建築の総合的な実習を実施しています。例えば、小児病棟における子供の環境改善をめざしてアートで病院を明るく元気にする療養環境デザイン、オフィスワーカーの心理を考えた働く環境のデザイン、福祉施設の高齢者の心にアピールするヘルスケアアート、公園と庭園の環境デザインなどが展開されています。

小児病棟の療養環境デザイン

 

社会連携のパイプ

名古屋市立大学は4つのキャンパスに分かれていますが、いずれも名古屋市の都市部に位置し、近郊都市圏の高等教育機関と連携しています。文化・教育・医療機関と相互に協力しながら、大学内にとどまらず、地域に根ざした社会連携の太いパイプを持っているほか、芸術工学部キャンパスが有する「環境デザイン研究所」では、大学での研究・教育成果を発信すべく、シンポジウム開催、書籍刊行、国際ワークショップなどを実施。産業界や各種市民団体との連携を強化しています。2019年度に、「建築系のデジタル教育」と「インタラクションデザイン」という2つの大きな神秘ジウムを開催し、話題となりました。

2021.7.2