名古屋市立大学の高大連携事業である「グレイド・スキップ・チャレンジ」として、芸術工学研究科では高校生に映像制作体験の機会を提供しました。本事業は、物語の構想やシナリオ制作から、撮影、編集、完成ファイルの調整までといった現代の映像制作のプロセス全体について、教員と大学生から指導を受けながら高校生が実施する夏休みのワークショップです。プロフェッショナルな機材の使用方法を学んでもらうだけでなく、コンテンツ制作やシーン・デザインなど広範なクリエイティブ現場に立ち会ってもらうことにより、高校生に研究室訪問以上の知識や知恵を提供できたと自負しています。また、同取り組みにより、大学生の側でも普段の実習とは異なる立場で制作を見直すことができました。ワークショップの企画やタイムスケジュール管理はデザイン教育の現場にとって最もクリティカルなものの一つですが、大学外の方を迎えることによって、実践的に制作管理を学ぶことができたことは、今後の高大連携にとっての新たな一歩となることでしょう。
なお、コロナ感染対策のため、本学では、高校生が集団でキャンパスにやってくることを基本的には実施しておらず、2020年と2021年には、オープンキャンパスや学生作品展示会もオンライン開催しました。しかしながら機材や人間関係を考えながら制作実習を進めることはデザイン教育の最も本質的な事柄です。そこで本学芸術工学部での実習は、教室や登校時期の分散、オンラインを適宜おりまぜるハイブリッド型授業など、教員それぞれが工夫を凝らし、対面で学習できる場を確保。高大接続での映像制作も、常にディスタンスを保ち、換気や手指消毒を徹底して、細心の注意を払って実施しました。「成果が上がり、貴重な夏休み体験だった」という高校生からの意見が多かったことは、これらの取り組みが一定の効果を上げた証左です。
高大連携で映像制作
大学生が映像編集を指導
2022.3.29