Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

多くの大学で地域貢献が求められるようになる中、本学でもデザイン教育・研究につながる地域連携活動として、県内自治体や企業からの要望に対応してきました。その形態としては主に下記の3種類が挙げられます。

(1) 県内自治体からの受託
本学は公立大学であるため静岡県や県内市町村とのつながりが強く、建築やランドスケープデザイン、グラフィックデザインなど各種デザイン受託事業を受ける機会が多くあります。受託した場合は大学院生が中心となり、以下のような実践教育を兼ねたデザイン設計・制作を行っています。
《主な事例》
・ 静岡県西部地域局「地震体験車のデザイン業務」(図1)
・ 静岡県「農林環境専門職大学の整備に係る建築物のデザインに関する研究」
・ 静岡県「農林技術研究所茶業研究センター整備に係る建築物のデザインに関する研究」

(2) 「ふじのくに地域・大学コンソーシアム」参加
高等教育機関相互の連携と、行政や産業界などとのネットワーク形成を目的とする県内コンソーシアムに本学も加入しており、「ゼミ学生等地域貢献推進事業」に参加して、学生のアイデアを生かした地域活性化のデザイン提案を行っています。最近の参加事例は以下の通りです。
《主な事例》
・ 下田市「散歩したくなる商店街のデザインの提案」
・ 掛川市「掛川手織葛布の情報発信に向けた若者からの提言」(図2)
・ 「島田市への来訪者の現状分析と観光資源活用策の提案」

(3) 全学カリキュラムの地域連携演習
「実務型の人材を養成する大学」、「社会に貢献する大学」という本学開学以来の基本理念に基づき、この理念に合致した地域と係る活動を地域連携演習として実施しています。下記が演習テーマの主な例です。
《主な事例》
・ 静岡県地域産業課と連携した「伝統工芸の技術を生かした新商品の開発プロジェクト」
・ 静岡県立こども病院、磐田市立総合病院などと連携した「ホスピタルアートプロジェクトしずおか」
・ 「森町歴史伝統文化保存・活用・整備プロジェクト」

新型コロナウイルスの影響で2020年9月まで対外活動は休止の状態にありましたが、静岡県内は比較的感染状況が落ち着いていたため、10月以降から地域連携活動が戻ってきています。デザイン教育・研究予算を確保するために、科学研究費や各種研究助成の外部資金獲得に努めていますが、デザイン関連の受託事業の受入れ体制強化が今後の課題です。

図1:地震体験車のデザイン例

 

図2:葛布を使った贈答用ラッピング製品

2022.3.29