Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

知と技を重視したデザイン教育

本学部は2016年に開設した新学部で、その前身は60年以上の歴史を持つ美術工芸の教員養成のために設置された特設美術科です。学科は芸術表現コースと地域デザインコースに分かれており、双方にデザイン系教員が在籍しています。1年次は、デザインの基礎的な理論と演習、デジタルツールによる情報デザインのスキル養成科目が共通の必修科目です。2年次からは4つに分類される教員の専門領域別の科目が準備され、コースに関係なく誰もが履修できます。

 

視覚伝達デザイン領域

有益なコンテンツを高い機能性と美意識をもって的確に伝えるための技と知識を実践・修得します。そのためには、企画・情報の選別・編集・メディアの知識・コミュニケーション・ディスカッション・プレゼンテーションなどが欠かせないと同時に、社会性・客観性・合理性・教養・実行力・説得力・造形表現力・審美眼も必要です。これらの実践の中から真のデザインマインドを身につけることを目的としています。


地域とデザインを主軸にしたプロジェクト

 

映像デザイン領域

映像言語や理論、時間や空間をデザインする新たな映像表現を学ぶ一方で、授業ではスキルの修得だけでなく、自己表現を模索する映像作品への理解を促し新たな視点を与えることを大切にしています。こうした教育を通して写真・映画・アニメーション・CGなどの生成メディアとWebによる双方向視聴や立体的な投影方法など、革新的な映像表現を実践する専門家を養成します。


スタジオ撮影実習

 

情報デザイン領域

現代社会に飛び交う大量の情報を整理・編集し、企画したテーマに応じた対象者へ情報を効果的に発信する表現を学ぶべく、情報を扱う知識や表現技法を修得し、伝達手段であるメディアそのものについても考察します。書籍のようなモノから、スマートフォンをはじめとする情報端末、ワークショップなどの「できごと」まで、多くのメディアを横断しながら社会課題を解決する企画や作品を制作し、人びとの生活を豊かにすることを目指します。


デジタルデザイン実習

コンテンツデザイン領域

表現媒体や技法にとらわれず表現形式を柔軟に横断できる発想力とそれを論理的に構築する分析力を養い、メディアの特性を生かした独創的な作品制作を目指します。そこで必要になるのが、最適な媒体・形式・技法を選択できる編集力です。単にモノのビジュアルをデザインするのではなく、それを感じ取る人間の知覚をデザインするという観点から、より柔軟かつ先鋭的な発想を展開しながら文化や産業に貢献できる人材育成を図ります。


ビデオ合成編集実習

 

本学のデザイン教育は、視覚伝達・情報や映像メディア系科目を中心にスキルとセンスを磨き、人と人、人とものをつなぐデザインの発想力・企画力・構想力を備えます。

カリキュラム全体の特徴として、1年次の必修科目「芸術表現基礎(デザイン)」では、コースを横断したグループワークで、ビジュアルデザインや映像デザインの基本的な要素を習得するほか、フィールドデザインとして街を歩き、課題を発見し提案するソーシャルデザイン的な要素を含む基礎科目なども実施。3年次の必修科目「地域創生フィールドワーク」では、再度コースを跨いでグループワークを行い、デザイン概念の拡張に合わせた地域との連携を1年間かけて実践するカリキュラムです。

ほかにも、地域企業との共同研究として、学部開設時に整備した映像スタジオやファブリケーション機器など、ヴァーチャルとリアルを往還する施設設備を活用したコンテンツ開発やサービスデザインのワークショップなど、地域とデザインを主軸にしたプロジェクトを進めています。


佐賀県と協働による灯りの空間演出

2019.10.18