Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

脱コースによる完全な融合教育をめざして

富山大学芸術文化学部は前項の理由から長年に渡り、多様な素養の学生が集いやすい制度設計、専門領域に共通する基幹的科目の充実、学部の全教員を対象とした卒業研究・制作の指導教員決定制度など、芸術と文化に係る多様な教育分野を横断するための融合教育を試行してきました。しかしながら、大学教育の典型的(つまり、ノーマル)な仕組みであるコース制と、それが必然的に生み出す他の専門分野への相互不干渉意識が、本質的な融合教育を阻む大きな障壁であることは否めませんでした。このコース属性からの完全な脱却こそが、理想的な融合教育(いわば、ニューノーマル)の実現につながるものと捉え、2022年度より、「オープンコース方式」を導入した新たなカリキュラムを実施します。その要点は以下です。

 

1.コース制を廃し、学生は入学から卒業まで学科に所属する。

2.コースは解体され、各専門科目が属する「学びの領域」を示す名称として再編される。

3.コース必修科目、選択必修科目が廃されるため、領域を問わず、すべての専門科目が履修可能となる(受講環境などの理由で、履修制限を設ける場合はある)。

4.学年進行によって学生の適性や進路が変化した場合、それに応じて、自主的で自在な科目履修の組み立てが可能となる。

5.入学時から進路が明確な学生は、その志望に必要な学修を突き詰める履修が可能となる。

6.自分の志望が不明瞭な学生は、主要領域の専門科目を自在に履修しながら、入学から3年次までの期間で、慎重に進路を見つけ出していくことが可能となる。

 

デジタルネイティブ、Z世代と呼ばれる若者達が大学進学時期を迎え、学生の教育ニーズもまた多様化の一途を辿ると予測されます。こうした次世代型の学生との新しい関係を築くために、この新たな教育体制でのチャレンジを続けていきます。

2022.3.29