Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

ソーシャルインタラクションデザインの実践

現代社会の直面する諸問題の特徴は、単一の技術あるいは思考アプローチでは解決できない複雑性にあります。問題現象の底流にある真の構造を見抜き、さまざまな技術を編集して新たな課題解決を提示する「デザイン思考」が今社会では求められています。京都工芸繊維大学のデザイン学専攻では、新たなデザインの役割・機能をソーシャルインタラクションデザインと定義し、モノの造形に留まらず、新たなサービスの創造と社会実装を行える人材の育成を目指しています。

ソーシャルインタラクションデザインを実践する未来のデザイナーは、1)新しい価値の創造、2)異分野間の連携・横断、3)新しい社会環境の構築の能力が求められます。1)は、的確なアイデア表現技術を基軸に、プロダクト・プレイス・ビジュアル・キュレーション・ビジネス・テクノロジーの専門知識を統合して、製品やサービスを革新したり、美術品やデザイン品の価値や意味を不断に更新していく能力です。2)は、社会フィールドをグローバル・ローカルの垣根なく捉え、創造的に課題発見が行えるとともに、異分野専門家で構成されるチームの中で、リサーチから具現化までのデザインプロセスを主導するディレクション・ファシリテーション・マネジメントといった能力です。3)は、さまざまな課題に対し、社会的枠組みから発想し、ビジネスマインドを持って社会実装が行える能力です。

ソーシャルインタラクションデザインの能力を涵養するために、デザイン学専攻では、プロダクト系、ビジュアル系、プレイス系、キュレーション系、テクノロジー系、マネジメント系の6系列によって専門教育科目と教員研究分野を構成しつつ、それらを有機的に統合するPBL系実習・演習科目を、産業界や自治体、海外研究機関との連携によって行っています。

 

世界的なデザイナー、サム・ヘクト氏を招聘して実施したワークショップの様子

 

ヴェネチア・ビエンナーレのシンガポール館で実施したワークショップの様子

2021.7.2