Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

コロナウィルス後の未来をデザインするオンライン・ワークショップ「(Re)generating Japan ── コロナウィルス後の新しい「新しい生活様式」を思索する」

京都工芸繊維大学KYOTO Design Labではコロナ禍により当初計画していたさまざまなプロジェクトが中止、延期になる中で、遠隔のワークショップやレクチャーなど、新しいコラボレーションのありかたを開拓する取り組みの一つとして、オンラインワークショッププロジェクト「(Re)generating Japan ── コロナウィルス後の新しい「新しい生活様式」を思索する」(https://www.d-lab.kit.ac.jp/news/2020/regenerating-japan/)を実施しました。

このプロジェクトは、社会の実験場であるべき大学が新たな教育、演習のモデル、新しい活動領域を模索する実験です。厚生労働省が提言する「新しい生活様式」を切り口に、次世代を担う多様な若手研究者、デザイナーが「次の次」を考え議論する場とすることを目指し、国籍や専門分野を問わずに参加者を募集しました。

全世界から200人弱の応募があり、51チーム約130人、日本国内では関東、関西から九州、沖縄までの20大学から、海外ではアメリカとイギリスの3大学から参加者を受け入れました。7月上旬のワークショップ開始時には、2020年以後の新しい世界を思索するための資料として、1960-70年代に近しい取り組みを行っていた新京都学派から現代のデザイン学、SF映画、未来予測や最新の世界情勢を扱う多彩な記事などが提示されました。以降9月末までの約3か月間に及ぶワークショップの運営はすべてオンライン上で行われ、各チームは個別に、またグループに分かれてメンターやゲストからのアドバイスを受けるとともに、参加者同士のディスカッションを通じて相互に教え学び合いながらデザインを進め、最終成果発表では期間限定の公開オンライン展覧会と、選抜された優秀作品のプレゼンテーションが行われました。

最終的に30組近くからバーチャル空間、アニメーション、パペット、シルバニアファミリーやリカちゃん人形を用いた動画など、参加者の多彩なバックグラウンドが反映された多様なメディアを用いた成果物が提出されました。中には現実世界を先取りするかのようなデジタル庁のPR動画や、管理社会への抵抗やハッキングをする人々の生活様式など、示唆に富んだ成果物も見られました。

本ワークショップは募集から成果発表までの全過程で、参加者、ゲストともに場所や時間の制約を超えて参加できるという、オンラインのメリットを最大限に生かしたプロジェクトとなりました。このプロジェクトを通して得られた知見を今後実施するオンラインの学際的ワークショップに活用していきます。

オンライン展覧会の様子1

 

オンライン展覧会の様子2

2021.7.2