Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

遠隔授業におけるシステムの有効性

本学では2020年4月17日に、前期授業は5月11日から8月7日までの期間、全て遠隔授業で実施する方針を定めました。学内の情報設備を活用するため、全学部原則として学習支援システム「manaba」を使用したオンデマンド授業にすること、「PowerPoint」にナレーションを入れた視聴用ファイルを使用することが推奨されました。ただし、ゼミ授業などについてはリアルタイムの双方向授業でも認められました。リアルタイム授業を実施する場合、学生全員が「Office365」を使用できるため、「Microsoft Teams」の使用が推奨されています。学生数約1,450名の大学では少人数教育が行いやすく、学習支援システムの必要性が低かったため、2017年に導入したばかりでした。今回の遠隔授業では、ほぼ全ての教員がmanabaを活用しており、非常時におけるシステムの有効性を感じております。

 

デザイン系授業や演習における段階的施策

デザイン系授業や演習の場合、工房が使用できないと学業に大きく支障をきたします。そのため、デザイン研究科の大学院生並びにデザイン学部3、4年生向けのゼミや演習など、教員が必要と認める場合に限り、6月から工房使用を許可。また、ポートフォリオ作品制作を行う学生にも8月から使用を許可し、段階的に利用範囲を広げてきました。8月17日の夏季集中授業からは、感染防止対策可能な科目については対面授業が再開されました。教室定員は50%以下に抑え、工房もパーティション設置など三密対策を施しています。後期授業は、教室での対面授業を行うことを基本とし、感染防止策が取りにくい一部の授業は遠隔で行うことが決まっています。

 

学生にとっての遠隔授業

本学では、コロナ禍の影響により、遠隔授業や外出自粛を余儀なくされている学生の現在の状況や意識を調査し、再開を予定している対面授業や学生支援策の参考とするため、2020年7月8日から7月15日の期間に緊急学生生活調査を行いました。学部1~4年生および修士1、2年生を対象に、「Googleフォーム」を用いて、Web上で回答を依頼。調査報告書は本学HPからダウンロードすることができます。

ここでは、本学の「遠隔授業に関する調査結果」から一部を抜粋し、掲載します。その回答状況については表1をご参照ください。デザイン学部生に限定すると、表2のように遠隔授業に3割の学生が満足、5割強の学生が不満を抱いています。分析途中ですが、1年生の不満が多く、上級生になるほど不満が減る傾向にあると推察されます。また、遠隔授業で対応できる講義と遠隔授業が難しい実技演習など、授業内容によって不満の割合が変わると思われます。今年は緊急対策で遠隔授業を実施したために、表3のような不満もありますが、今までは、遠方のデザイナーに特別講義を依頼することが難しかった一方、今回は簡単にオンライン講義で対応できたといった、遠隔授業の長所を見つけることができました。新型コロナウイルスの感染終息後も、遠隔授業の利点を生かした授業が普及していくものと予想されます。

 

表1.遠隔授業調査の回答状況

回答者数及び回答率(学部・研究科別)

 

表2.遠隔授業に関する全体的な印象

 

表3.遠隔授業に不満に感じる理由

(表2の「不満」「やや不満」の回答者が対象、主な2項目まで選択)

2021.7.2