Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

COVID-19禍における学生の主体的な支援活動

佐賀大学では、COVID-19禍における授業支援として、同期型遠隔授業対応「Webex」と、資料配布オンデマンドやプロジェクト型授業にも対応できる「Office365 Teams」を準備したほか、教員へのツール支援として、急遽3月より「オンライン授業ポータル」を設置。さらに、芸術地域デザイン学部の学生有志たちが新入生をオンライン支援するため、自発的に立ち上げた支援団体「げちでのたまご」が活躍しました。

「げちで」は「芸術」「地域」「デザイン」の頭の文字を取ったもの。オンライン授業のツール活用支援は受講学生の立場からつくられており、在校生や教員からも利用されています。そのコンテンツは、オンライン授業の受け方や課題の提出方法、一人暮らしのアドバイスやサークルの紹介、デザインソフトのトレーニング、質問や相談の対応など多種多様。記事のテーマは、SNS経由で新入生から届く質問や公開済み記事のアクセス数を参考にニーズの高そうなものを選び、一人が書いた記事をほかのメンバーがチェック、ブラッシュアップしてから公開しています。

参加している学生自身が必要だと思うこと、大切だと感じていることを実践することから始まった試みですが、4月にスタートして以降、アクセス数は2カ月で約72,000件を記録。その反響の大きさに、担当学生の一人は「情報を求めている新入生がこれだけ多いことに驚いたが、ニーズに応えることができたと思う」と手応えを語ります。

COVID-19禍における学生生活が急激に様変わりする中、従前の教育方略では対応できないケースも出てきました。学生たちは自らがたまごの殻を破り飛び出そうとしています。本学部ではそのような実践的な取り組みに、ハード、ソフト共に支援できるリレーショナルデザインの環境づくりを目指そうと考えています。

「げちでのたまご」メンバー。開設に関わった学生たちは現在、新入生支援に加え、在校生の進路支援、地域と大学、学生の連携活動を促進させる仕組みづくりに取り組んでいる。

2021.6.24