Design Academia - 国公立デザイン系大学会議

デザイン系の学部や学科を持つ22の国公立大学が集まる「国公立デザイン系大学会議」。この日は、そのうち17大学が集まり、第3回目となるシンポジウムがオンラインで行なわれました。2021年も前年に始まったパンデミックの収束を見ることはできず、大学での教育のあり方や手法を問われる事態が続きました。そのような中で全体のテーマを「ニューノーマル・社会とデザインとの新たな関係について」に設定し、「学生(Student)」「地域(Region)」「国際(International)」のサブテーマのもと、各大学の事例共有や活発な質疑応答が行なわれました。前半では3大学による取組事例の共有が行なわれました。それぞれ長岡造形大学が「学生(Student)」、沖縄県立芸術大学が「地域(Region)」、筑波大学が「国際(International)」というテーマで、コロナ禍を経た現在どのようなデザイン教育を実施しているかについて発表しました。

長岡造形大学
どのように地域と一緒に演習を行なうか?

長岡造形大学造形学部・大学院造形研究科の土田知也教授は、主に学部生が地域とともに取り組む「地域協創演習」について発表を行いました。例年10前後のプロジェクトが行なわれており、2020年度はコロナ対策によってやや数は減ったものの、2021年度は再び実施数も戻り、それぞれ3~36人程度の学生が、自ら選択して演習に参加しました。
その中の一つ「比礼かかしプロジェクト」は、田んぼに設置するかかしを、学生がデザイン提案し、実際に設置するというものです。屋外での演習ということもあり、この取り組みは例年通り実施。今後も毎年実施することで、終了後の交流会まで含めて地域のイベントとして認識されている状況を共有しました。
もう一つの事例として言及されたのが、「生活用品開発プロジェクト」です。2021年度は、燕三条市の収納家具メーカーに新製品を提案し、試作を繰り返して商品化を目指す演習でした。これまで同プロジェクトでは実際にいくつか商品化された実績があるといい、学生のモチベーションも高いとのこと。実際のメーカーとの打ち合わせは、オンラインと対面をハイブリッドで実施。学生、教員、メーカー担当者を適宜LINEグループ化することによって、スムーズなコミュニケーションが可能となりました。
最後に土田教授は、2年に渡るパンデミックによって、授業についての方法は確立しつつある一方、学生のキャンパスライフを鑑みると、後回しになってきたサークル活動やイベントなどの実施に課題が残ると述べました。学生の自主的な活動に制限を加えないための方法を模索したいと話し、発表を締めくくりました。

沖縄県立芸術大学
コロナの大きな影響を受けた、沖縄でのデザイン教育

沖縄県立芸術大学美術工芸学部・大学院造形芸術研究科の仲本賢教授は、日本唯一の亜熱帯地方にあるデザイン系大学として、地域と密着したデザイン教育を実践していることについて発表を行いました。多くのプロジェクトを走らせつつも、パンデミックの影響を強く受けた沖縄ならではの困難も垣間見える内容でした。
仲本教授は、沖縄ではあまりリモートによる授業がうまくいっていないとの認識を示し、離島に出かけてワークショップを行う「移動大学」、地域に入って自分の得意を生かして行う「地域の特産品開発」、中学生および地域の企業と協働する「中学生による村内物産品の開発サポート」など、多くのプロジェクトが中止や延期を余儀なくされた状況を説明しました。
一方で、コロナ禍によってさまざまなことがリモート化したことにより、新たな可能性も開けてきたと話します。一例として、地域企業からのデザイン教養講座の開設依頼や、台湾やインドネシアの姉妹校とともにデザイン関連講座開設の打診など、これまでになかった動きも起きていることが共有されました。
学生とのコミュニケーションにも変化が生まれ、講義形式の授業についてはマンツーマンに近い形での良好な関係が築けているが、やはり実技科目やフィールドワークにおいては運営に苦労していると述べました。

筑波大学
コロナ禍においてどのようにリモートで国際教育を行なうか?

筑波大学芸術専門学群・大学院人間総合科学研究科の山中敏正教授は、デザイナーの最も大切な仕事は「人々にまだ見えていない課題を目に見えるようにすること」だとした上で、グロ-バル化された現代にあって今後不可欠になるのは、新しい人類の社会存在様式について、さまざまな知を戦わせ課題を創造していくことだと述べました。
その具体的な取り組みとして、「Tsukuba Global Science Week2020」および「Campus in Campus=CiC 構想」を紹介しました。中でもCiC 協定校同士で授業科目を共有できるように開発・運用を目指す科目ジュークボックスについて取り上げ、国際的なオンラインの教育プラットフォーム上で、どのようなデザイン教育プログラムを提供し、海外に開いていくかが重要であると話しました。またこの取り組みは、文部科学省が掲げる「ニューノーマルにおける大学の国際化促進フォーラム形成」や「オンライン国際教育プラットフォーム事業(仮称:Japan Virtual Campus)」にも資するものであるという認識を示しました。
続いて同大学の大友邦子准教授は、「ミラノ工科大学とのオンライン国際協同演習」の実践について発表。つくばとミラノをつないでのリモート型の2ヵ年にわたる演習によって、オンラインとオフラインそれぞれの得意な項目の見極め、チーム作りの手法、実際の制作作業の機会確保などの重要さが明らかになったことが共有されました。ための方法を模索したいと話し、発表を締めくくりました。

意見交換

今回のテーマである「ニューノーマル・社会とデザインとの新たな関係について」および「学生」「地域」「国際」というキーワードに関連して、各大学から意見が述べられました。

2021.9.25